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京都芸大140th 京都とともに 芸術とともに

京都市立芸術大学 国際化方針 2020

京都市立芸術大学は、1880 年に日本最初の公立の絵画専門学校として開設された「京都府画学校」を起源とする芸術大学です。1952 年に設立された「京都市立音楽短期大学」と統合し、1969 年に「京都市立芸術大学」となりました。

現在、本学は美術学部・研究科と音楽学部・研究科に加えて、日本伝統音楽研究センターと芸術資源研究センターの2つの研究機関を設置しています。全学生数 1000 名余りの大学ですが、この規模だからこそ実践できる「少数精鋭の質の高い教育」と、学部や専攻、実技と座学の「垣根を超えた横断的教育」が特徴となっています。

開学以来、本学に通底する国際化の目標は、「国際的に活躍できる創造的な人材の輩出」です。芸術大学は常に自由でオープンでなければなりません。テラスのように垣根がなく、人が往来し、多様性に富んだ刺激的な空間であるべきです。そのためには国際化の視点、グローバルな視点は不可欠です。

2020年は、本学創立 140周年という節目の年です。また、2023年には、下京区へのキャンパスの全面移転を予定しています。この移転をきっかけに、本学は更に外に目を向け、多様性を受入れ、表現力に磨きをかける、そうした機会になるよう目指していかなければなりません。そのためにも「大学の国際化」、更には「大学のグローバル化」というキーワードは大変重要です。

そこで本学では、目標として掲げた「国際的に活躍できる創造的な人材の輩出」をより高いレベルで実現するために、2024 年度を目途とする 5 年間の国際化方針を策定しました。今後、この国際化方針に基づき、海外の芸術大学やアーティスト等との交流・連携を推進するとともに、学生の海外留学や留学生の受入に関する支援の充実に努めてまいります。

1 交流協定締結校の拡充、連携強化

本学を構成する各機関は、教育及び研究機関としてそれぞれが独立した専門性を有している。したがって、提携校の選定や、実際の交流に関しては、機関ごとの方針を重視し、多様性に富んだ国際交流の在り方を念頭に置きつつ、これまで取組の遅れていた地域や分野を中心に強化を行う各機関を大学が総体的に支えるという姿が現実的であり、望ましい。

「交流協定締結校の拡充、連携強化」に係る各機関の方針は以下のとおり。

  1. ● 美術学部・研究科の提携校は現在 11 校。密度の高い連携を図るうえでは、既に数的限度に近い。今後は、これまで実現できていなかった米国とドイツの大学等との新たな協定締結を目指す。大学の選定に当たっては、大学レベル、大学規模、専攻の適合度などを参考にしながら総合的に判断していく。
  2. ● 音楽学部・研究科の提携校は 9 校。既定の提携校との交流を更に深めるため、教員の相互訪問を積極的に進めるとともに、交流演奏会や特別講座などの連携事業の実施を推進する。
  3. ● 日本伝統音楽研究センターの提携校は3校。研究者同士の交流及び短期研究留学の受入などを進めるための協定締結を推進する。現状では協定締結校は欧米の大学が中心となっているが、今後はアジアや世界全体を視野に入れていく。
  4. ● 芸術資源研究センターは、今後、海外のアーカイブ機関、大学等の研究機関の調査を行ったうえで、双方向的な研究交流を目指していく。

2 教育環境の国際化

国際的に活躍する講師を招聘し、特別授業を実施することで、芸術分野における最上の教育環境を整える。更に、海外のアーティストを招聘し、演奏会や講演会等を開催することで、学生の海外への関心を高めるとともに、留学促進につなげる。特別授業や演奏会、講演会の実施に際しては、学生の関心を高めるための工夫を施していく。

また、英語力の向上をはじめ、教育環境の国際化を進めるうえで基盤となる教職員の国際化を一層進めるとともに、留学生の受入や送り出しを担当する専門部署の機能強化を図る。

移転後の大学施設等については、名称等に国際化をはじめとするダイバーシティの視点を反映させる。

3 日本人学生の交換留学促進

日本人学生の交換留学は、近年、志願者数及び派遣者数ともに横ばい、あるいは減少傾向である。交換留学は、学生が視野を広げ、芸術家として成長する上で重要な機会であるとともに、卒業後の進路に海外を選択する可能性にもつながっている。

そのため、学生が交換留学に関心を持つための取組について、国際的な講師の招聘や特別授業の開講、海外ア-ティストによる演奏会や講演会などを開催し、交流を深めるとともに、従来から実施している海外からの留学生の芸術活動発表において、開催頻度を高め、開催方法や開催場所などに工夫を凝らし、より有意義な学生間の国際交流の場とする。こういった芸術環境の国際化を通じ、日本人学生の交換留学を促進し、「国際的に活躍できる創造的な人材の輩出」という目標も、より高いレベルでの達成を目指す。

4 外国人留学生の受入体制整備と受入れ増加に向けた取組

本学では、学位取得を目指す留学生(本科留学生等)のほか、単位の取得を目的としない研究留学生と、協定校から前期又は後期に受け入れる交換留学生の3つの制度がある。本学において、一定期間(3 箇月以上)滞在の留学生数を抜本的に増加させることは、芸術活動を行ううえでの学内スペースや、少人数教育という本学の特徴を勘案すると、現状では困難である。ただし、日本人学生の交換留学が増加すれば、受入のための物理的な条件等も緩和されることから、「日本人学生の交換留学促進」と連動して捉え、交換留学生の受入れ増加に向けた取組も進めていく。更に、夏季休暇を利用した外国人学生向け短期プログラムや、1 箇月の短期交換留学をはじめ、外国人留学生の需要を踏まえた多様な留学形態についても研究し、実施可能なものから着手していく。更には海外への情報発信体制を整備し、留学生に対して一般入試への出願方法を分かりやすく提供するなど、グローバル化も視野に進めていく。

また、日本伝統音楽研究センターについては、海外の学生からの関心が高く、日本の伝統音楽の唯一の公的な研究機関としての責務からも可能な限りの留学生受入を進めていく。

こうした取組を進めるために、英語をはじめとする多言語による国際交流ウェブサイトの整備、印刷物の多言語化、学内掲示の多言語化を進めるとともに、日本語講座の開設、生活サポート体制の強化をはじめとする学内の受入態勢整備を進める。また、YouTube やSNS で発信する際には、多言語表記も並列することで、海外に向けた発信力強化につなげる。

5 留学実績のデータ整備

本学は、英国のロイヤル・カレッジ・オブ・アートとの交流協定締結30周年をはじめ、長い国際化の歴史を有しているが、そうした取組が蓄積され、有機的に活用されているとは言い難い。
受入れ・派遣ともに、留学成果を記録し、内外に発信することで、教員や学生からのアクセスを容易にすると同時に、留学生相互のネットワーク化と、そのネットワークを使った更なる国際化の進展に繋げていく。

6 研究成果の市民への発信

移転後に JR 京都駅から至近に立地することを踏まえ、国際的な学会の誘致や、学術会議の受入を促進する。同時に、国際交流によって培われた研究成果を市民に還元する取組を進めていく。

7 海外に向けた「京都芸大」ブランドの構築と発信

「京都」という世界に冠たる歴史都市、文化芸術都市に立地し、京都市民に長年支えられてきた公立大学であるという特徴を最大限に生かし、海外に向けた「京都芸大」ブランドを構築し、発信していく。

KCUA International Office.

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