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2017年度 ロイヤル・カレッジ・オブ・アート/イギリス 野村 由香

学部
大学院美術研究科 美術学部・大学院美術研究科

年度
2017

氏名/専攻
野村 由香/彫刻

プロフィール

学年 修士課程1回生
留学先 ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(Royal College of Art)/イギリス
留学先専攻 Sculpture
留学期間 2017年8月30日~12月31日

留学行動記録

8月30日日本出国
8月30夜ロンドン到着/ホテルに滞在
8月31日~9月4日   アパート探し
9月5日シェアフラットに入居
9月9日~9月19日ドイツ,イタリア旅行(ドクメンタ,ミュンスター彫刻プロジェクト,ヴェネチアヴィエンナーレ鑑賞)
10月3日オリエンテーション/授業登録
10月9日専攻の授業がスタート(簡単なプレゼンテーションを行う)
10月16日担当チューターとの個人チュートリアル
10月中旬各加工室(Workshop)の使い方指導を受ける
10月27日~30日パリ旅行
11月7日グループチュートリアル
11月15日~11月28日    大阪で開催された展覧会【集団_展示】にイギリスから参加する(金,土,日は日本時間に合わせてライブイベントを行う)
11月20日~22日パリ旅行
11月27日担当チューターとの個人チュートリアル
12月6日外部チューターとの個人チュートリアル
12月10日留学生展搬入
12月11日~12月15日留学生展の会期
12月15夜留学生展搬出
12月17日~12月21日ナポリ旅行
12月23日~12月26日アムステルダム旅行
12月27日アパ―トを引き払う/ロンドン出発
12月28日~12月30日モスクワ旅行
12月31日日本帰国

渡航〜オリエンテーションまで

・家探し
 渡航後約一週間はホステルに滞在しながらアパートを探しました。MixBeeという日本人向けサイトを使って内見の予約をとり,6件見たあとに大学近くのシェアフラット (1つの家やアパートに数人で住むこと)に入居することを決めました。同じ価格帯でもフラットによって全く雰囲気が違うため現地で内見してから住む場所を決める良いと思います。

・大学
 学期が始まる一か月程前に、留学担当者からResistration(登録会)やRCAアカウントの作成についてメールが送られてきました。アカウントを作ると,学生用HPが見られたり授業の情報が届いたりするので,それを参考に授業開始までの予定をたてることが出来ます。私は10月3日の登録会まで授業が無かったため,現代美術の国際展が開かれているドイツ,イタリアを旅行しました。

授業や制作について

・授業
 10月の二週目から徐々に授業が始まります。Wood workshop,Metal workshopなど,”workshop”という名前で各加工室や,機材の使い方の指導を受けます。写真印刷,3Dプリンタ,樹脂加工など,たくさんのworkshopがあるので自分が興味を持ったものに申し込んで指導を受けます。(ただし定員いっぱいで受けられないこともあります。)
 Sculptureの授業はチューターと1対1で行う個人チュートリアルと,4~5人の学生と1人のチューターがディスカッション形式で行うグループチュートリアルのほか,学生が自主的に企画するcriticism groupなどがある。実施回数は多くなく,基本的には自分の制作に集中できます。(まれに交換留学生だけチュートリアルの連絡が回ってこない,授業の名簿に含まれていないこともあるので,その場合,参加したい時はSculptureのスタッフに申し出た方が良いです。)RCAのSculpture の指導方法は,まずは遊ぶように手を動かしてみて,それから何が重要かを考えるというスタイルで,一つの思考に偏り過ぎないバランスの良さが特徴だと感じました。専攻の授業以外でもCHS(Critical Historical Studies)やSoAH(School of Art and Humanities)という各科共通の授業があり,レクチャーやワークショップの開催情報が回ってくるので興味があれば参加することができます。

・ 留学生展
 12月11~15日まで,京芸からの交換留学生3名合同の展示をHockney Galleryで開催しました。私は初日の夜にパフォーマンスを行い,2日目以降はその映像を展示しました。オープニングには,友人知人を含めて20~30人ほどの人が来てくれました。展示会場のダブルブッキングや,メディア機材の貸し出しに関するトラブルを調整するためにかなりの時間を費やしながらも,こうして現地で経験したことを一度かたちにして出せたことは良かったです。イギリスに行ったからこそ出来る作品を制作できたと思います。しかし,慣れない環境の中,4か月で作品を制作し展示までもっていくのはハードなことでした。私はパフォーマンスに使用する機材,パフォーマンスの会場セッティングなど,他の2人の交換留学生に助けてもらったおかげでなんとか無事に展示を終えることが出来ました。留学生同士が協力することでお互いの負担が軽くなる部分があると思います。

現地の暮らしについて

 学期はじめに大学主催のパーティーが何度もあるので,そこに顔を出せば他専攻の学生とも知り合うことが出来ます。私はPainting,Vehicle Desiginの学生と仲良くなり,定期的に遊んだり,大学の授業や施設について分からないことを教えてもらったりしていました。私は3人のシェアフラット物件に住んでいました。人数が少ないので距離感が近く,一緒に夕食を食べたり,出かけたりしていました。
 RCAの学生は,こちらがあまり英語を話せないと分かっていてもよく話しかけてくれまる。分からないことは聞けば丁寧に教えてくれるし,スタッフを含め皆とても優しいです。また,日本の知り合いに紹介してもらったイギリス在住の日本人アーティストの人と知り合えたことで交流の輪が広がり,多くの日本人アーティスト,キュレーター,ロンドンの他の芸術大学の学生と関われたことは非常に面白かったです。
 また,ハロウィンやクリスマスはもちろん,毎日のようにトークや映像上映会,展覧会のオープニングなどのイベントがあります。ほとんどが有志参加のものなので,自分が興味のあるイベントを選んで参加していました。日常生活では,なるべく自炊をすることで食費を浮かせるように気をつけていました。また,電気屋やパブなどで大学の学生証を見せると割引をしてくれる店があるので,購入前に確認したほうが良いです。現地では何度か体調を崩しました。向こうの風邪薬はスーパーや薬局で買えるものでも比較的効くので,体調が心配な人はあらかじめ準備しておいた方が良いかもしれません。

語学について

 レクチャーは英語なのでその場ですべてを理解することは難しかったのですが,ボイスレコーダーに録音して時間があるときに聞いていました。オンライン英会話や単語帳での勉強もしていましたが,移動中や料理中にイギリスのラジオを聞いたり,音楽を聞いたりして英語に慣れていった部分の方が大きかったです。また,RCAには毎週EAP(English for Academic Purposes)という語学の授業があります。私は受講しませんでしたが,多くの非ネイティブの学生はこのコースを受けていました。RCA入学前にもこのコースを受けることが出来るようなので,可能なら受けたほうが良いと思います。

留学を終えての感想

 数か月といえど,ロンドンで生活し,そこで学べたことは非常に大きな経験になりました。各地の美術館,教会,博物館などを巡り,ヨーロッパの美術史の流れを社会の歴史と連動させて体感できたこと,そして自分自身の文脈を客観的に見て,自分は何を表現したいのか,または自分に何が表現できるのかを考える機会が持てたことはとても有意義でした。
 授業に出たり美術館に行ったりするだけでなく,RCAやシェアフラットで様々な国から来た友人と話す中で,ふとしたことで自分の保守的な考えに気が付いたり,視野の狭さを感じたりするという日常での経験が自分にとって大切な時間でした。こうした留学制度が無ければロンドンで学ぶことは難しかったと思います。本当に良い機会を与えていただいたと思っています。サポートしていただいた京芸の先生方に感を謝申し上げます。

2017年度 ロイヤル・カレッジ・オブ・アート/イギリス 野村 由香

学部
大学院美術研究科 美術学部・大学院美術研究科

年度
2017

氏名/専攻
野村 由香/彫刻

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