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2023年度 アールト大学/フィンランド 中村 夏津

学部
大学院美術研究科

年度
2023

氏名/専攻
中村 夏津/美術専攻(染織)

プロフィール

学年 修士課程2回生
留学先 アールト大学(Aalto University School of Arts, Design and Architecture)/フィンランド
留学先専攻 Fashion and Clothing Textile Design
留学期間 2023年9月~12月

留学行動記録

8月25日 日本出国
8月26日 ヘルシンキ到着/学生チューターからアパートの伴を受け取る
8月29日-9月5日オリエンテーション
9月6日 Sustainable Fashion and Textile Design 授業開始(火・木曜日が授業、金
曜日に課題提出)
9月14日 Second periodの履修に関する個人面談
10月1-3日ロヴァニエミへ旅行
10月6-7日 エストニアへ旅行
10月14日Sustainable Fashion and Textile Design 最終課題提出
10月23日Printed Fabric Studio授業開始(月・水・金)
10月24日 Experimental Textile Design授業開始(火・木)
11月10日Experimental Textile Design中間合評
11月11日Printed Fabric Studio最終合評/Knits and Knitwear Studio授業開始
(月・水・金)
11月30日撮影スタジオでコンセプト写真の撮影
12月1日Knits and Knitwear Studio最終合評
12月4日Experimental Textile Designの展示搬入
12月7日Experimental Textile Design最終合評
12月8日パイミオでサナトリウムを見学
12月10-11日サーリセルカへ旅行
12月17-24日パリ・ローマ・ウィーンへ旅行
12月27日管理会社へアパートの伴を返却/フィンランド出国
12月28日 日本到着

  

授業や制作について

アールト大学では一学期が二つのピリオドに分かれているため、それぞれで授業を履修していました。第一ピリオドでは Sustainable Fashion and Textile Design という授業を履修しました。持続可能な開発と繊維産業やデザインの関わりについての授業で、毎週火、木曜日の 9時 15 分から 16 時まで講義やグループディスカッションを行い、毎週金曜日にその週の授業
を通して学んだことを Learning Log としてまとめ、提出しています。授業自体は週2回と少ないですが、事前の読書課題やグループワーク、毎週の提出物など授業外の課題も多いため、他の曜日も基本的に授業課題を行っていました。
第二ピリオドは Experimental Textile Design、Printed Fabric Studio、Knit and Knitwear Studio の三つの授業を履修していました。Experimental Textile Design は毎週火、木曜日に
あり、制作というより制作のコンセプトを考えることに重点を置いた授業です。自身の制作のコンセプトを見つめ直し、言語化するためワークショップやグループワーク、課題を行うことで、制作の原点に立ち返るような内容の授業です。他二つのスタジオコースはExperimental Textile Design に合わせて履修する形となっており、それぞれ三週間ずつの期間の中で基本的な技術を学び、最終的に自身のコンセプトに基づいたコレクションを制作し、提出しました。

10 月 23 日から第 2 ピリオドが始まりまり、私はメインの Experimental Textile design の
授業に加え、Printed Fabric Studio と Knits and Knitwear Studio という2つのスタジオコー
スを受講しました。Experimental Textile design には 3 種類のコースがあり、私や大学院か
らアアルト大学に来た学生はその中の Concept Part のコースの授業を受けていました。内
容は主に制作のコンセプトを考える授業となっていて、ワークショップやグループワーク、ヌークシオ国立公園での課外授業、カメラを用いたコンセプトフォトの撮影、教授との個人、グループ面談など授業内容は多様でした。授業を通して何か一つの作品を完成させることより、コンセプトを他者に伝えることが重要視されているように感じました。そのため、最終合評ではステートメントとコンセプトフォトが最も重要視され、作品だけではなくスケッチや研究過程で作ったサンプルも同時に展示することが推奨されていました。
同時に受講していた2つのスタジオコースでは基本的な技法と工房の使い方について学び
ました。Printed Fabric Studio では反応染料を用いた染色技法やシルクスクリーン、デジタ
ルプリントなどの一通りの技法と道具の使い方を学び、最終課題として学んだ技法を用い
て 8 つのファブリックコレクションを作成しました。Knits and Knitwear Studio では編み機の使い方、様々なニットの構造を学び、最終課題として 10 つのニットで構成されたコレクションを作成しました。それぞれが 3 週間ほどの短期間で終了するコースであったため、授業
外でも工房に残って作業するなど忙しい日々ではありましたが、新しい技法を学んでひた
すらサンプルを制作したり、クラスメイトと制作についてたくさん話し、ポジティブな言葉を掛け合ったりととても充実した期間でした。

第 2 ピリオドで受講した3つの授業全てで合評がありました。2つのスタジオコースでは最
終日に制作したサンプルコレクションの合評があり、制作したサンプルに加え、サンプルそ
れぞれに使用した素材や技法、構造などの情報を明記したプロダクトカードを制作しまし
た。メインとなる Experimental Textile design では中間合評と最終合評があり、ステートメン
トとコンセプトフォト、スタジオコースで制作したサンプルやスケッチなどを用いて合評を行いました。教授だけではなく、学生も自由に感想を言ったり気になることを質問したりと、どの合評もオープンな雰囲気で行われました。Experimental Textile design では最終合評の日から 1 月 15 日まで展覧会があるため、合評前日に展覧会の搬入を行い、展示をした上
で最終合評が行われました。


現地での生活について

大学から紹介された Hoas という団体が運営しているシェアアパートに、同じ交換留学生三人
で住んでいます。お風呂、トイレ、キッチンが共有でそれぞれに部屋が与えられています。アパートは大学までバスで 30 分ほどの場所です。駅からすぐのアパートで、最寄りからヘルシンキまでも 15 分ほどなので不便を感じたことはありません。外食は高く、円安の影響もあるので基本的に自炊をしています。乳製品、ハムやソーセージ、パンの種類がとても多く、根菜が安いです。キャッシュレス化が進んでいるので現金を使うことはほとんどありませんでした。フィンランドはあまり日本とギャップがないように感じます。交通網も発達していて治安も良く人も基本的に親切です。身の危険を感じることや不便を感じることも特にありません。公園が多く、自然が身近にあり、気分転換に散歩をする事が多いです。湖や海も比較的近いので電車、バスですぐに行くことができます。また、街と森の距離がすごく近いので、通勤通学などで森の中を通っている人が多いことに初めは驚きました。森の中の道は基本的に舗装され、子供が一人で歩けるほど安全です。日本とフィンランドでは森に対するイメージが大きく異なると思います。11 月に入ると気温が一気に下がりました。日照時間もどんどん短くなり、朝薄暗い中で家を出て学校に行き、帰宅する頃には既に日が落ちて真っ暗という、ほとんど日光を浴びない生活が続き、慣れないうちは辛かったです。フィンランド人の友人にビタミン D を飲むという対策方法を教えてもらい、毎朝飲むようにしていました。フィンランドには暗くて長い冬を乗り切るための方法がいくつかあり、ビタミン D を飲むこともその一つなので、薬局だけでなくスーパーなどでも簡単に手に入ります。日光が少ない環境はかなり辛かったですが、その分天気が良い日はとても嬉しく、太陽光の有り難さを実感しました。また、冬に食べるピパルカックというクッキーやグロギという飲み物といったこの季節ならではの物を食べる機会も多く、フィンランドの冬を楽しむ文化をたくさん知ることが出来ました。

語学について

大学の授業は英語で行われていたため、英語のみ勉強していました。
英語については、留学前から続けているオンライン英会話を続けていることと、移動中は基本的に Duolingo という英語学習のアプリを利用していました。また、授業が無い日でもルームメイトと喋るなどして毎日英語を話す機会を作るようにしていました。

留学を終えての感想

本当に充実した4ヶ月間でした。年齢も国籍もバラバラで様々なバックグラウンドを持つ
クラスメイトと授業を受け、グループワークやディスカッションを行ったり、友人と制作
についてたくさん意見交換をした日々は刺激的で、とても実りあるものでした。基本的に
毎日授業を受け、課題も多かったため忙しい日々ではありましたが、アールト大学で受け
た授業は全て面白く、授業で得た新たな知識や考え方は自身の制作のコンセプトについて
再考するきっかけにもなりました。                                     
学校だけではなくフィンランドでの生活もとても居心地の良いものでした。親切な人が多
く、困っていると必ず誰かが声をかけてくれたり、治安も良く、ゆったりとした穏やかな
気持ちで日々過ごすことが出来ました。森との距離が近く徒歩圏内にたくさんの自然が
あったことも、豊かな気持ちで過ごせた理由であったと思います。自然に囲まれ、毎日に
はっとするような美しい瞬間が存在しました。
4ヶ月は全然あっという間ではなく、毎日に様々な出来事や感情があり、しっかりと一日
一日を生きたという感覚があります。たくさんの人に出会い、様々な文化や考え方に触
れ、自身の制作だけではなく、アイデンティティについても客観視し、見つめ直すことが
出来た今回の留学は、私の人生において学びのある素晴らしい時間であったと感じていま
す。貴重な機会をくださり、サポートしてくださった教員の方々や教務学生課の方々に感
謝いたします。ありがとうございました。

2023年度 アールト大学/フィンランド 中村 夏津

学部
大学院美術研究科

年度
2023

氏名/専攻
中村 夏津/美術専攻(染織)

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