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2024年度 フライブルク音楽大学/ドイツ 土方 渚紗

学部
大学院音楽研究科

年度
2024

氏名/専攻
土方 渚紗/作曲専攻

プロフィール

学年 大学院音楽研究科 2回生
留学先 フライブルク音楽大学/ドイツ
留学先専攻 作曲
留学期間 2024年10月~2025年2月

留学行動記録

9月30日 日本出国 (フランクフルトで1泊)
10月1日  フライブルク到着/ 寮に到着
10月8日オリエンテーション/授業登録
10月10日  作曲レッスン開始 
10月19日 ドナウエッシンゲン音楽祭を聴きに行く
12月14~15日旅行(シュトゥットガルト)
12月20~1月5日冬休み
1月16日 美術館めぐり(バーゼル)
1月27日現代音楽のピアノのコンサートにて自作曲(過去作)を演奏
1月28日 即興演奏のクラスコンサートに出演
1月30日作曲専攻のコンサートに自作品(新作)を出品、演奏
2月3日京芸に修了作品 提出
2月10日副科ピアノのクラスコンサートにて自作曲(過去作、新作)を演奏
2月12日旅行(ケルン)
2月14~15日旅行(パリ)
2月18日最後のレッスン
2月24日ドイツ出国 (フランクフルト空港から)
2月25日日本到着

授業や制作について

授業は、作曲の個人レッスン、作曲のゼミ、副科ピアノのレッスン、即興演奏の授業、ドイツ語、ヨガ、の授業に参加していました。



作曲の個人レッスンは週に1回、1時間のレッスンで、修了作品を主に見ていただいていました。毎回自分にとって新たな観点を提案してくださり、作曲に対する向き合い方が以前より視野が広くなった気がします。作曲の技能というよりも音楽のあらゆる可能性を考えることの楽しさを説いてくださいました。心に残る数々の言葉に励まされながら作曲に向き合うことができました。
作曲のゼミは不定期で数多く行われていました。ギターの奏法レクチャーや、さまざまな作曲家の自作曲レクチャーなど多岐にわたる内容でした。


副科ピアノのレッスンは毎週1回、30分受けていました。こちらに来て副科のピアノを履修できるとは思わず、毎回とても幸せな気持ちでレッスンを受けていました。現代音楽が好きな先生で、以前に作曲したピアノソロ作品を見ていただき、アドバイスをいただけた幸せを噛みしめていました。先生のご厚意でクラスコンサートに出演することもでき、貴重な機会をいただけたことに感謝の気持ちでいっぱいです。音を介するだけで理解できることの安心感や幸せを改めて感じられることが、日々の心の支えとなっていました。


即興演奏の授業は、私が個人的に興味があったので履修しました。毎週1時間行われていました。8人ほどの学生で各々好きな打楽器を選択し、即興演奏をし、パフォーマンスが終わる度に感想を述べ合い、提案をしたりしました。ドイツ語で行われるので何を話しているのかはジェスチャーでなんとか汲み取っていましたが、全ては理解できませんでした。私は英語で発言をしていましたが、拙い英語でも聞き取ろうとしてくれる方々に感謝しかありませんでした。そのような居心地の良い環境を作ってくださっていたおかげで発言がしやすく、毎回同じような発言や表現にならないようにしようという気持ちになれました。

作曲のセミナーやコンサートは非常に多く開催されており、それぞれの作曲者にはそれぞれの強い意思や美学を持っていると思いました。エレクトロニクスを伴う作品が非常に多かったです。それらの作品を実際に聞いたことで自分に足りないもの、自分らしさを認識できました。数多くの作曲セミナーに参加しましたが、特に「かわいいとは何か」というテーマのセミナーは興味深い内容でした。ギャルやアニメ、漫画といった日本の文化が数多く扱われていました。自分の音楽以外の分野への関心範囲の狭さ、自身を構成する要素の少なさに反省点を見出しました。自分を取り巻いている身近な世界についてもっと知りたいという気持ちが芽生えましたし、音楽との関わり方や距離感について考えたいと思いました。

【発表などについて】

1月27日

副科のピアノの先生からのご紹介で、現代音楽のピアノのクラスコンサートへ出演しました。コンサートでは周りは素晴らしいピアノの専攻生しかいませんでしたので、恐縮ながらも貴重な時間を過ごしました。


1月29日
毎週受講していた即興演奏の授業の発表がありました。この発表会では即興演奏のクラスだけでなく、コンテンポラリーダンスやコンタクト・インプロヴィゼーション、ジョンケージの作品演奏など、音や身体の表現を介して即興的にパフォーマンスするクラスの総合的な発表でした。京芸での即興演奏経験が活かされたので、何事にも体験することの重要性を感じました。

1月30日

作曲のコンサートで 「Dot Sound.  .  … ~For Flute and Piano~」という自作品を発表しました。作曲のコンサートは有志で作品発表していて、1ゼメスターに2回ほど開催されているようです。初めて合わせ練習をした際、フルート奏者の読譜力と表現力、私の表現したいことを楽譜から全て汲み取ってくれた時の感動は一生忘れないであろうと思います。

2月11日

副科ピアノの先生のクラスコンサートに出演予定しました。こちらもピアノソロの過去作品と新作を自演をしました。語学が達者ではなく、フライブルクで一体自分は何ができるのだろうかと考え、探し続けていた日々ですが、副科ピアノの先生と出会ったきっかけで視野が広がりました。

現地での生活について

フライブルクはとても治安が良く、日本とさほど変わらない様子で過ごせていました。                            フライブルク音大生や寮の人たちも親切な方が多かったです。学生街ということもあり、色々な国籍の人を温かく受け入れてくれていると感じました。住民登録やテレビ受信の手続きを丁寧に教えてくれたり、体調を崩した時には食料品を買ってきてくれたりしてくれました。
学校では毎日ようにコンサートが開催されており、できるだけ積極的に聞きにいくように心がけていました。学内関係者だけでなく、数多くの地元の方々も聴きに来ていました。ドイツ人にとって音楽は日常生活の一部のようなものとして捉えているのだと思いました。
作曲のコンサートも、学外でも非常にたくさん開催されていました。フライブルク音大の学生であれば学生割引が聞いたり、無料で鑑賞できるものが多く、そのような環境をとても素晴らしく思いました。

物価についてですが、スーパーで買い物をすると、日本よりも価格が高いと感じました。また、フライブルクにはアジアンスーパーがありますが、価格がとても高いと感じました。
フライブルクはドイツ最南端ということもあり、ドイツ市内に行くよりもスイスやフランスの方が近いです。スイスのバーゼルに行った際には、気軽に国境を超えられる感動を覚えました。しかし、格安のバスを使用する際は、一人ではなく誰かと共に過ごした方が良いと思いました。運転手によって乗り心地に大きな差があるので、頼れる人がそばにいたほうが安心です。また、停車場がアプリでの情報と違っていたり、発車時刻が予定よりだいぶ異なっていたりすることがありました。

語学について

ドイツ語の授業に週1回、参加していましたが、レッスンや日常会話は英語で行っていました。英語も能弁ではないので日々苦労しましたが、毎日誰かと話し、土曜の朝にはタンデムパートナーと英会話の練習を2時間ほど行っていました。また、授業が終わった後、1日の出来事を英語で日記をしていました。
1対1で話すのは徐々に慣れましたが、集団の中で会話をするとなるとかなり難しく感じました。普段は英語で話していましたが、ほんの僅かでもドイツ語を話した時に相手の表情がパッと明るくなったことがあったので、単語だけでもドイツ語で話すことは大事だと感じました。4ヶ月滞在しても言語はとても苦労しましたし、集団での会話は難しかったですが。最初の頃に感じた抵抗感はほんの少し軽減した気がします。

持っていってよかったもの、持っていけばよかったものについて

持っていって良かったものは、薬類、マルチビタミン剤、アクエリアスの粉、湿疹の塗り薬、体温計、マスク、フェイタス、のドヌールスプレーなどです。体調を崩した時にはアクエリアスの粉が大変便利でした。食べ物類は、醤油、ポン酢、砂糖、岩塩、鍋キューブ、本だし、味噌汁、紅茶・緑茶パック、 ラーメン、パスタソース、おかゆ、ふりかけなど、大変重宝しました。

持っていけばよかったものは、簡素な物干し、スーツケースなどの荷物を量る秤、プラスチックの湯たんぽ、タッパー、ロストバゲージ対策のGPSトラッカー、モバイルバッテリー、などです。

その他の今後の派遣留学生へ伝えたいメッセージなど

少しでも気になったらとりあえず家族や先生方に相談するのが吉かなと思います。私自身は学部の頃から交換留学に興味がありましたが、応募するのをためらっていたら最終学年となっていました。早めから交換留学に関する準備に取り組んだり、(特に語学は大事..!!)、情報を集めたり、そして音楽以外のことにも色々挑戦、経験することがとても大事だと思いました。いつもと違う場所で作品を0から作るということで全く音が書けない時期が少々ありましたが、先生のアドバイスやフライブルクの自由な校風も相まってか、あまり思い詰めることなく仕上げられたことは今までにない不思議な感覚を覚えました。

交換留学を経て、音楽面での発見はもちろんありましたが、私の場合は特に精神面での変化を感じています。知識や語学面など足りないものについつい目を向けがちになる瞬間もあるかと思いますが、気負わずに交換留学に挑戦してほしいなと思います。                                        

                                    

留学を終えての感想

京芸生活6年間で経験したことがフライブルクで活かすことができたように感じました。(自作の自演や即興演奏、美術専攻とのコラボレーションしたり等)。それらを周りの方々が好意的に受け入れ、認めてくださったことで、これまでに経験してきたことは間違いではなかったと過去の自分をようやく肯定することができた気がします。今後も挑戦を止めずにいようと思います。

副科ピアノを受講させていただいた契機で様々なクラスコンサートの演奏機会をいただき、自分の音楽的ルーツを再認識した時間となりました。フライブルクで出会った先生方、自分の曲を演奏してくれた友人には感謝の気持ちでいっぱいです。                                      

この交換留学で足りないものもたくさん見つけましたし、自分らしいものも認識しました。創作したものに対する責任感や他人に分かりやすく言語化することは非常に大事だと痛感しました。また、自分を取り巻く世界に関心を向けながら音楽とどのように関わり合っていくのかを考えたいです。                                   最後に、このような大変貴重な機会をいただき本当に感謝しています。あっという間の5ヶ月間ではありましたが僅かながらの変化を感じています。支えてくださった京芸・フライブルク音大の国際担当の方々をはじめ、家族、先生方に感謝の気持ちを申し上げます。 

2024年度 フライブルク音楽大学/ドイツ 土方 渚紗

学部
大学院音楽研究科

年度
2024

氏名/専攻
土方 渚紗/作曲専攻

KCUA International Office.

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