2024年度 ロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージック/イギリス 濱田 鈴奈
学部
大学院音楽研究科
年度
2024
氏名/専攻
濱田 鈴奈/器楽専攻(ピアノ)
プロフィール
学年 大学院音楽研究科 器楽専攻(ピアノ)
留学先 ロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージック/イギリス
留学先専攻 Piano
留学期間 2024年9月~12月
留学行動記録
9月14日 | 日本出国 |
9月16日 | オリエンテーション開始 |
9月19日 | レッスン開始(毎週木・金) |
9月24日 | 授業開始(火・水・木・金にそれぞれ1~2コマの授業) |
10月20日 | Royal Academy of Musicにてコンサート出演 |
10月27日 | 旅行 (ケンブリッジ) |
10月28-11月3日 | Performance week (中間休み) |
11月16日 | 教会にてジブリ作品のコンサート |
11月23-27日 | 旅行 (ローマ・ヴェネツィア) |
11月29日 | 京芸主催 交換留学現地リポートに参加 |
12月1日 | 交換留学生でRCMのホールにて試演会 |
12月5日 | 授業終了 |
12月14-16日 | 旅行(バルセロナ) |
12月18日 | ロンドン出発 |
12月19日 | 日本帰国 |
授業や制作について
オリエンテーションの週は本来授業はなく、翌週から始まる予定ですが、私のピアノレッスンの教授のご都合もあり、オリエンテーションの週から早速2日連続でレッスンが始まりました。そこから毎週2日間、計2時間のレッスンを見ていただいていました。週によっては1日だけの時もありますが、沢山レッスンを見ていただけて本当に有難かったです。
また、授業に関しては最大3つまで申し込み出来るので、私は音楽実技系の授業ではなく座学の授業を3つ申し込みました。理由としては、私自身が将来教員の道に進みたく、また英国王立音楽大学も教育への手厚い授業が多く見受けられたので、教育や、音楽教師としての指導方法、女性音楽家についての授業を受講していました。
その他、ピアノ専攻を対象にした毎週行なわれる公開マスタークラスや、院生を対象にしたコンサートパフォーマンスという授業も受講させていただきました。
また、英語のサポート授業も希望者は受講できるため、標準レベルの英語のクラスとread and explore という読解と会話に焦点を当てた英語のクラスの2つを受講しました。
Art of Piano Teaching という教育の授業では、ピアノ指導者として、実際に初めてピアノを習う小さい子にどのようにレッスンを進めていくか、またどのようなテキストが良いかを先生にいくつも見せていただいたり、どのような指導の心構えが必要か、そして実際に学生同士で先生役と生徒役として10分間のレッスンを行う機会もあり、RCMの教授として今もなお最前線で活躍されている先生方に沢山のことを教えていただけてとても貴重な時間でした。
Women in Music という女性音楽家に焦点を当てた授業では、学内にある博物館で授業を行い、当時の女性音楽家にまつわる貴重な資料を沢山見せていただき、とても興味深かったです。
研修旅行として、私はイタリアのローマとヴェネツィアに二泊三日で訪れました。バチカン市国内にあるバチカン美術館やローマにあるコロッセオ、また私が大好きな作品であるショパンの舟歌の舞台となった、人生で一番見てみたかったヴェネツィアの景色を見ることができ、本当に感動する時間となりました。
3ヶ月という短い期間ですので、授業は聴講生として参加することがほとんどでしたが、演奏会の機会には沢山恵まれました!
10月半ばにはロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージックにて”half concert and half lecture “と題した、前半は研究分野についてレクチャーをし、後半は演奏を披露するというコンサートに出演しました。私は後半の部でソロ演奏として出演させていただきましたが、前半ではzoomを通して様々な国からレクチャーをする学生もおり、同世代の学生たちがどのようなことに関心を持ち、研究・発表へと繋げているのか学ぶことができ、とても貴重な経験になりました。
11月半ばには、RCMの近くにある大きな教会でジブリ作品の演奏会に出演させていただきました。私はピアノトリオと声楽の方との編成で演奏させていただきました。
この演奏会は、出演者にはRCMの学生のほか、隣接してあるインペリアルカレッジの学生であり、音楽を学んでいる方々との合同演奏会でした。普段関わることのない学生たちとの交流の場にもなり、またそれが音楽という形で繋がれたことに、改めて音楽を学んでいるからこそ出会えた素晴らしさを感じました。
現地での生活について
私が交換留学に行っていた時は1ポンドあたり197〜199円だったため、物価が日本の約2倍だったため基本的に毎日自炊を心がけて生活していました。ですが、その分大学の環境は大変素晴らしかったですし、美術館や博物館などの観光施設は無料なところが多いので、そのことを考えると貴重な場所で過ごせたことがとても嬉しいです。
夜間の外出は気を付けていましたが、昼間であっても街中や電車等、防犯には気をつけながら過ごさないといけないなと実感しました。スリなどの犯罪に合わないように、常に気を抜かないよう歩いていました。かばんは体の前にくるように斜めがけにしたり、スマホは首からストラップを下げてかばんにしまい、歩きスマホは出来るだけしないようにしていました。夜間の夜道や地下鉄は危ないとは思っていましたが、人が少ない時間帯である昼ごろに地下鉄に乗ると、お金を求めてくる人が車両を徘徊していることもあり、日中であっても気は引き締めなければならないと思いました。
語学について
大学で学生達と話すことが私にとって一番語学を伸ばすための勉強だと思っていました。どのような言葉をよく使うのか、またどういう時に使う言葉なのか、をよく聞きながら学びながら日々会話していました。 また、英語の授業も毎週あったのでそこでも先生や学生達と会話をして英語を学んでいました。毎日学校に通っていて、知り合いとすれ違った際挨拶はしていましたが、その際相手の名前を呼ぶようにする、ということが仲良くなる上でより大切なことだと学びました。とても些細なことですが、この一言でも相手に笑顔が増えるように感じて、そこからはできるだけ相手の名前を呼ぶように心掛けていました。
日本で準備しておけばよかったこと、持っていけばよかったもの、済ませておけばよかった手続きなどあれば教えてください
私が留学中、もっと準備しておけば良かったと思うものは現金と、作り置きできるタッパーです。現金は、旅行はもちろん、友達との食事の割り勘で使うことが多かったですし、タッパーは一人暮らしの生活には便利だと思いました。
また、私はピアノ専攻ですが、大学での練習室の1日あたりの使用時間が日本よりも大幅に短かったため、ロールピアノという電子ピアノを持って行ったことがとても役立ちました。本物にはもちろん敵いませんが、家での練習として指ならしや譜読みの際活躍したので、お勧めします。
その他の今後の派遣留学生へ伝えたい注意事項など
派遣留学生の中には、海外での長期間の生活が初めてという方もたくさんおられるかと思います。日本とは全く違う環境で、言葉も通じなければ、文化も生活スタイルも違う、そんな環境で不安もたくさんあるかと思います。その中で、私が気をつけた方がいいと感じたことをいくつかお伝えして、お役に立てればと思います。まず、実際に海外に行ってみて、良い人ばかりでなく、悪い人もとても多いと感じました。そのため、熟考した上での行動をすることが必要不可欠だと思いました。二つ目は、日々の危機管理についてです。ロンドンは学生も多く、比較的安全な街とされていますが、スリや大麻など気をつけなければならないこともたくさんあります。また、夜になるとガラリと街の雰囲気が変わり、治安が一気に悪くなります。そのため、地下鉄やバスではカバンを前に抱える、現金を多く持ち歩かない、目を付けられないように普段の登校では綺麗な洋服を避け早足で歩く、夜遅くに帰宅するときはUberやタクシーを使って帰宅するなど、日本ではあまり気にかけなかった些細なことにも気をつけて生活を送っていました。そのため、命の危険を感じたことはなかったのですが、少し危ないなと感じたことは何度かありました。日本と違って、しっかりと気を張っておくことが大事だと強く感じました。三つ目に、パスポートや保険の契約書、学校の在学証明書、往復航空券のコピーは2〜3枚程度持って行くことをオススメします。理由としては、飲食店にてアルコールを頼むときに年齢確認をされることもあり、身分を証明できるものを持っておくことは大事でした。また、ロンドンから他国へ旅行する際、入国審査で色々と聞かれることもあり、英語が達者ではない自分は学校からの在学証明書等を提示することで、怪しいものではないということを簡単に証明することができました。
留学を終えての感想
留学に憧れはありましたが、数年日本を離れて生活することや金銭面での不安があり、実現はできないだろうなと思っていました。ですが、この交換留学制度では、短期間ではあるものの、学校の手厚いサポートのもと、そして社会人になる前の学生の間に留学を経験でき、また行きたくてもなかなか行くことのできないハイレベルな学校で学べることでき、本当に貴重な機会であったと実感しています。心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
現地の大学では、私が想像していた以上に先生方がとても親身に寄り添って下さり、沢山のあたたかなサポートをしてくださいました。他の交換留学生や本留学生、様々な学生と交流することで、それぞれがなぜこのRCMを選んだのかを聞くことができ、より一層この大学の魅力を知ることができました。また、交換留学を経験したことにより、海外で学ぶことの素晴らしさを身をもって知ることができ、留学のビジョンが見え、また海外に訪れたいと強く思うことができました。 交換留学を通して、より一層本留学を目指したいと思える機会になると思いますし、今後の京芸生にはぜひこの制度をお勧めしたいです。