2025年度 フライブルク音楽大学/ドイツ 塚田 優乃
学部
大学院音楽研究科
年度
2025
氏名/専攻
塚田 優乃/作曲専攻
プロフィール
学年 大学院音楽研究科 修士2回生
留学先 フライブルク音楽大学/ドイツ
留学先専攻 作曲
留学期間 2025年10月~2026年2月









留学行動記録
| 9月30日 | 日本出国 |
| 10月1日 | フライブルク到着/ 寮に到着 |
| 10月6日 | オリエンテーション/ 授業スタート |
| 10月19日 | ドナウエッシンゲン音楽祭を聴きに行く |
| 11月4 | カールスルーエ音楽大学のスタジオ見学と学生によるセミナー |
| 12月16日 | ビザ取得 |
| 12月28~1月1日 | 旅行(ケルン・フランクフルト・バーゼル) |
| 1月28日 | 作曲専攻発表会で自作を2曲初演 |
| 2月11日 | SWR Studio Freiburg 見学・セミナー |
| 2月13日 | 最終レッスン |
| 2月26日 | 寮退去 |
| 2月28日 | 帰国 |
授業や制作について
水曜日
・ドイツ語の授業
ビギナークラスに参加し、3人〜5人の少人数で受講していました。英語は使わずにドイツ語のみで進む授業です。
木曜日
・Pure Date
電子音楽作品でよく使われるビジュアルプログラムソフトMax/MSPと同じ開発者が作った無料版のソフト『Pure Date』のプログラミングが学べる授業です。英語での授業で、プログラムの仕組みの理解と同時に、音響学の用語の英語をこの授業から学びました。
金曜日
・Grundlagen der Elektronischen Musik (電子音楽の基礎)
8割ドイツ語での授業のため、ついていくのが難しかったですが、スクリーンに映し出されるものと合わせて、何とか理解していました。テルミンを触ったり、実際に音を聴く実験的試みも多く、興味深い内容でした。作曲専攻の多くの人が参加していました。
・Analyzing Electroacoustic Compositions (電気音響作品の分析)
電気音響作品の譜面とMaxやAbletonの実際の画面を見ながら、分析をするセミナーです。
受講生自身がケーブル接続や機材セッティングを実際に試し、プログラムの動作を確認しながらスピーカーで音を再生するなど、極めて実践的な分析が行われした。ライブエレクトロニクスを用いた作品制作を作りたい学生にとっては、学びの多い内容となっていました。
zoomでも参加可能で6人ぐらいが参加していました。
個人レッスン
・johannes schoellhorn先生のレッスン
週に一度、Johannes Schöllhorn 先生から作曲の個人レッスンを受けていました。留学中はソロ・パーカッション作品を制作しており、発表に向けてその作品を中心に見ていただいていました。書き始める前から、実際に様々な打楽器を研究するよう助言され、10月22日には打楽器奏者にオファーをして、演奏と研究の協力をしていただいていました。先生のアイデアの広げ方や、私が挑戦したことのなかったアプローチに触れることで、自身の発想が広がり、これまでにない視座を得ることができました。
・Alexander Grebtschenko 先生のレッスン
門下の Johannes Schöllhorn 先生に、ライブエレクトロニクスを用いた作品にも取り組みたい旨を相談したところ、Alexander Grebtschenko 先生をご紹介いただき、コンタクトを取った結果、不定期で指導していただけることになりました。
セメスターの中盤から後半にかけては、週に一度の作曲レッスンや選択授業に加えて、1月28日の作曲試演会『Particles ♯18』で発表する新作2作品の準備を主軸に過ごしました。 2曲制作を、それぞれの先生方のご指導いただきながら進めると同時に、演奏者の依頼やリハーサル会場の確保、使用機材の相談など、様々な準備を進めました。その過程で、先生方や奏者の方々、そして作曲専攻の仲間など、多くの方々にアドバイスやご協力をいただき、準備を通じて交流を深めることができました。 また、カールスルーエ音楽大学の作曲専攻の皆さんをお招きして開催された共同ゼミも、大きな刺激となりました。両校の学生による自作品のプレゼンテーションでは質疑応答が行われ、これまで共に学んできたフライブルク音楽大学の作曲専攻の皆さんの素晴らしい作品も深く知る機会となり、極めて有意義な経験となりました。
京芸と違うと感じた点は、留学生を含めて、様々な国籍の学生が学んでいるため、授業ではドイツ語だけでなく英語も併用して進められる場面が多くあったことでした。できるだけ全員が理解できる言語でコミュニケーションを取ろうしてくださる姿勢が印象的でした。
また、現代音楽のセミナーや演奏会の数が非常に多く、日程が重なることもあるほど活発に行われていたことです。さらに、大学外のスタジオ見学などにも先生方の引率のもと、作曲専攻の学生で訪れる機会がありました。こうした機会を通して、授業内外で気軽に意見交換を行う雰囲気があると感じました。実際に、私自身の作品についても作曲専攻生が関心を持ってくださり、時間を設けて作品について意見交換を行う機会がありました。
演奏会などの成果発表について
1月28日に作曲試演会『Particles ♯18』が開催され、以下の新作2曲を発表いたしました。
・「Hop…」 for Percussion Ensemble of 3 Players
・「Inescapable – Toccata」 for Viola and Electronics
奏者の皆様は非常に意欲的に取り組んでくださり、休日も自ら追加リハーサルを希望して練習に取り組んでくださいました。どちらの曲もリハーサルは英語で進めてくださり、積極的に曲について尋ねてくださったり、私の拙い英語にも熱心に耳を傾けてくださったおかげで、細かな意図や希望、より良くなるための提案をいただくなど、多くの意見を共有することができました。その献身的な姿勢に支えられ、充実した準備期間を過ごすことができました。 本番の素晴らしい演奏のおかげで、多くの方から楽曲への嬉しい感想をいただくことができました。私にとって新作2曲を同時に発表することは初めての経験であり、どちらの楽曲も、実際に演奏していただかなければ得られなかった気づきや学びが数多くありました。無事に本番を終え、これほど楽しく幸せな学びの時間を与えていただけたことに感謝の気持ちでいっぱいです。また、多大なるご指導をいただいた先生方にも、心より深く感謝申し上げます。
現地での生活について
フライブルクの皆さんは明るく優しく、いつも笑顔で過ごしている方が多い印象です。街自体もとても魅力的で、大学で言葉がうまく出てこなくて落ち込みそうな時でも、外を歩くと自然と気持ちが明るくなりました。食事も美味しく、毎日の食事選びが楽しみになっていました。また、学生の皆さんも非常に勤勉で、多くの学生が自習しているフライブルク大学の図書館に通い、私自身も語学学習や作業に取り組む時間が気に入っていました。
クリスマス期間には友人とクリスマスマーケットを楽しみ、年末にはケルン観光やスイスのバーゼルを訪れ、初めて海外で年越しを楽しむなど、充実した休暇を過ごしました。フライブルク以外の都市を訪れたことで、異なる文化や街の雰囲気に触れると同時に、フライブルクの街の魅力を改めて認識する機会となりました。
また、異国で学び生活する中での苦労や努力を以前より想像できるようになったことと、新しい知見を得られる喜び、そして現地の方々の温かさを知ったことは、私にとって大きな財産だと感じます。わずか5ヶ月ほどの滞在である私に対しても、周囲の方々は常に丁寧に関わってくださいました。「自分が日本にいた時、これほど優しく、様々な背景を持つ人々に寄り添えていただろうか」という自省と共に、私も彼らのように他者への優しさと想像力を持てる人間になりたいと、感じるようになりました。
語学について
ドイツ語の授業に週1回、参加していましたが、ビギナークラスとはいえドイツ語の授業は難しく、毎回の授業を録音して復習で理解を深めていました。授業の予習・復習だけでも大変で、ペースは遅いですが、A1の習得を目指し、日本から持参した参考書と YouTube を活用しながら学習していました。レッスンや日常会話は英語で行っていました。
英語も堪能ではないので日々苦労しましたが、毎日誰かと話し、土曜の朝にはタンデムパートナーと英会話の練習を2時間ほど行っていました。また、授業が終わった後、1日の出来事を英語で日記をしていました。英語で行われる授業も録音し、同じ速度で話せるようシャドーイングを行い、市販の単語帳は使わず、日々の会話や授業で出会った語彙をアプリに登録し、週ごとにファイル分けして復習していました。1対1で話すのは徐々に慣れましたが、集団の中で会話をするとなるとかなり難しく感じました。普段は英語で話していましたが、ほんの僅かでもドイツ語を話した時に相手の表情がパッと明るくなったことがあったので、単語だけでもドイツ語で話すことは大事だと感じました。来独当初は、留学生もドイツ人学生も英語を非常に速いスピードで話すため、簡単な質問や日常会話でさえ即座に口に出せない状況に落ち込みました。「もっと話せるようになりたい」という思いから、時制や動詞の活用といった基礎文法を集中的に復習し、来独当初に比べると話せないストレスは軽減されたように感じましたが、4ヶ月滞在しても言語はとても苦労しましたし、集団での会話は難しかったです。でも、後半には最初の頃に感じた抵抗感はほんの少し軽減した気がしました。
一番大変だったことや、それをふまえてこれから交換留学に応募される方へのアドバイス
慣れない海外での手続きは、思うように進まないことも多く、不安を感じる場面がありました。閉鎖口座のアクティベートには、パスポートの確認が必要でしたが、パスポートが新しいデザインのものであったため認証に時間がかかり、手続きが完了するまでに約1 か月ほど要しました。アクティベートが済むまでの期間は不安が大きく、大変だと感じました。海外での手続きは進捗が見えにくかったり、通例通りには進まない場面も多く、不安になることもあるかと思います。しかし、諦めずに確認や連絡を続けていれば最終的には解決するため、落ち着いて対応することが大切だと思います。
また、日曜日の閉店法や「静音時間(Ruhezeit)」など、ドイツ独自の生活習慣も存在します。こうした文化を理解し、現地の生活リズムに慣れることで、必要以上に不安を感じずに落ち着いて生活することができるようになりました。
留学を終えての感想
日本で積み重ねてきた学びや創作活動をさらに深めることができ、非常に充実した留学となりました。周囲の学生たちの作品を通して、多様なスタイルで作曲に取り組む姿勢に触れることができ、音楽に対する考え方の幅を広げられました。また、自作品について演奏者や作曲家と意見を交換したり、沢山交流を行えました。電子音楽のセミナーや授業で得た新しい技術や発想を、自作曲にどのように生かすか試行錯誤したり、学外問わず多くの演奏会から日々刺激を受けたことも、大きな収穫でした。自作曲2曲の初演に向けては、制作中から奏者とコミュニケーションを取りながらリハーサルと本番を終えることがで き、とてもよい経験になりました。さらに、SWR Studioの見学や現代音楽の演奏会への参加を通して、音楽の歴史や創作の積み重ねをより身近に感じることができました。ドイツで得た経験や出会いを糧に、これからも音楽と真摯に向き合い、創作を続けていきたいと思います。
